【53】磐梯山

【2006年10月10日】

小学校の学級音楽発表会での演目が民謡の会津磐梯山、自分は独演の大太鼓を任されていたので物凄く緊張したのを忘れない。
磐梯山は表と裏で全く異なる山容を示す山として有名で、私も絵葉書に見る裏磐梯の風景に憧れを感じていた。深田久弥が「本当のすぐれた磐梯山に接しようとするには、ぜひ表の猪苗代湖から仰がねばならない。ここから望んだ形は、さすが会津の名山と伝えられただけあって、立派で美しい」との日本百名山の記述に敬意を表し、私は猪苗代登山口(表登山口:標高690m)から登り裏磐梯へ抜けるコースとした。
スキー場脇からグングン登り詰めていくと、時折振り返り見る猪苗代湖の大きさが次第に小さくなっていった。鏡が池を過ぎて左手に磐梯山頂、右手に赤埴山に囲まれた沼ノ平に着くと、そこは山上楽園の如き気持ちのいい高層湿原であった。
裏磐梯への分岐となる稜線に出ると荒々しい爆裂火口の北方面が見えた。山頂直下の弘法清水の名水に喉を潤し小休止の後、程なく磐梯明神の石祠が立つ標高1,819mのピークに到着。快晴の山頂からは360度のパノラマ展望を欲しいままに…。
下り道の裏磐梯には明治21年の大爆発でできた沢山の沼が点在しており、丸山から爆裂火口跡に下りると先ず緑と赤のコントラストが美しい銅沼が目を引いた。
更に裏磐梯スキー場を抜けて樹林帯に入ると、コバルトブルーのるり沼、弁天沼、竜沼、深泥沼、赤沼、青沼、毘沙門沼と次々に絵になる五色沼自然探勝路の散策は描き続けてきた期待以上の美しさで迎えてくれた。

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