【90】皇海山

【2015年7月30日】

赤城山での徒労に挫けず、昨夕次の百名山、皇海山を目指して移動。この山への憧憬は30年前に遡り、尾瀬・日光へ向かうバスから見た格好いい山(当時は名も知らず)、後で調べてスカイ山と読むと判り、また興味が増幅した(元々、髪止めのかんざしから当て字変化して皇海山となったらしい)。
実はこの山はアクセスが悪いことで有名な山。普通に入山すると往復17時間を要するということで、これまた悪名高き悪路の林道(栗原川林道)を選択。もはや砂利道とは言えない…崖っ淵の岩ゴツゴツの林道を20㎞、上からの落石や数百m下の沢への転落というドキドキ感と闘うこと1時間以上、やっとの思いで短距離コース登山口の皇海橋に到着した。途中4台の車と遭遇し、その度に離合でヒヤヒヤ…最後の2台は作業トラック(軽トラ・2㌧トラック)で道幅一杯だったため、心臓に悪いバックを余儀なくされた。
登山口に着いたら着いたで、次の問題が発生。①最近熊が出没しているので要注意看板(登山口には自分独り)、②夜中には全国的に晴れてる中で唯一ここ(群馬・栃木県境)に大雨洪水警報が発令され朝方まで猛烈な雷雨に遭遇…もはや、ついてないとしか言い様のない大ピンチ!Σ(×_×;)! 今日の登山は愚か、林道の崖崩れも懸念される事態に流石の私も正直滅入り眠れなかった。

そんな覚悟の中で夜明けを迎え、6時過ぎに漸く雨が上がり、もはやここに連泊はあり得ないということで、一か八かの掛けで皇海山登山を決意!登山説明書によると、腰までの熊笹が悩ましいとのことなので、持参した3足の登山靴の中でおニューの靴をおろして、雨露対策に備えて7時過ぎに出発。
途中、虻に悩まされながらも猛烈なスピードで上り、9時前に頂上に到着した。因みに、剣道2段の腕前なので、ストックで虻2匹を小技の小手で撃墜(o^-')b !また、懸念材料の熊笹は刈られた直後の様子、昨日離合した作業員さんが整備してくれたらしい。有り難いことに、その青々とした熊笹のカーペットの上を、さながらバージンロードを歩く如く進ませて頂いた(o^-')b !
相変わらずのガスの中、元来眺望はあまり良くないとのお触書なので、取り立てて失望感はなかったが、それはそれ…やはり眺望を楽しみたいもの。まぁ、大雨洪水警報だから無理か!?と諦めつつも、皇海山を眺める好展望の隣の鋸山に登って、水出し珈琲を挽いて昼飯を食べていたら、何と予期せぬことに晴れ間から皇海山と古くからの信仰の山、庚申山を見渡すことが出来た(皇海山は庚申山の奥の院)。
百名山の中では余り人が来ない山だけに(警報のせいも有りか?)、今日出会ったのは僅か2人のみ。その彼らも鋸山への寄り道を選択せず、下山した模様。脱線するが…最近の百名山ブームで彼らのような突貫登山者(百名山ハンター)が増えた。私に言わせれば、百名山とは景色・雰囲気など山の全てを楽しんでこその良い山。半ば義務的にピーク踏破だけ目指す風潮は如何なものかと思う?
鋸山で完全に景色を独り占めし、上機嫌で下山していると不覚にも登山路を逸脱。人が入らないだけに道迷いが多いのだろう…至るところに踏み跡があり、その一つに足を踏み入れたらしい。私は過去、御嶽山で2時間近く藪こぎし、遭難しかけた経験がある。その時は何とか日暮れギリギリに登山道を見つけて事なきを得たので、今日は悪あがきをせず、10分ロスして元の道に上り返して無事帰還。
昨日今日と盛り沢山の体験を与えてくれた皇海山だったが、久し振りに静かな山旅を満喫することが出来て大満足。また、ここの登山道は沢づたいに何度も渡渉を繰り返すためマイナスイオンの気持ち良さに加えて、道はシラビソの細い落ち葉がクッションとなってふかふかで足にも優しい。林道問題を除けば、また来たい山リストに入れたい名山だった。
p.s帰りは別ルートの林道(栗原川根利林道)を使ってみた。距離は同じく20㎞あったが、崖が少なく且つ危険箇所にはガードレールがちゃんと附けられていた(往路はあまり無し…加えて「自己責任で通行のこと!」という注意看板多数)。

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