【41】聖岳

【1991年8月22日】

昨夜泊まった兎岳避難小屋は粗末な造りで居住性は最悪だったが、兎岳の頂上に近いその立地の良さが3日振りに晴れた朝の御来光を迎え正解となった。快晴ではないながら、昨日は全く見えなかった来し方の赤石稜線、これから向かう聖岳への稜線が見渡せたほか、絶妙なガスの流れを映じたブロッケン現象も発生、更に遠くには富士山の頭も確認できた。
景色を堪能してゆっくり出発、日本アルプス最南僻遠の3,000m峰である聖岳(3,013m)まで2時間弱で到達した。日本の高峰中で一番登山者の少ない山と言われる聖岳には、私以外の人影はなく山名通り奥深い聖なる山であった。
この日は無理をせず、聖山頂から2時間下った聖平にある綺麗な山小屋(聖平小屋)で休むことにした。草原のような聖平には1959年の伊勢湾台風による無数の倒木が転がっていて、結構絵になる風景であった。

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