【37】鹿島槍岳(鹿島槍ヶ岳)

【1989年8月12日】

逍遥会の仲間との縦走4日目、筋肉痛も伴って体調は絶不調の中、コース2つ目の難所となる八峰キレットの登りからスタート。小屋を出てすぐ岩場に取り付き、鉄梯子・ザイル・針金・鎖のオンパレードで心臓バクバクの過呼吸状態で用心して通過。最低鞍部から左下にはカクネ里雪渓の落ち込みを眺めつつ、右上に見える空に突き出したような鹿島槍北峰に向けて体力勝負の登りとなる。緊張感が解けると体力問題がまたもや露呈、2人に大きく遅れて鹿島槍ヶ岳南峰(2,890m)にやっとのことで到達。彼らは吊尾根を北峰まで往復する余裕を見せたが、自分はそのハイペースには着いていけなかったため断念。鹿島槍ヶ岳は何と言っても双耳峰の美形が魅力だが、その日の天候は曇りでガスに覆われ楽しみにしていた展望もなかったため、敢えて次回リトライを誓い先の宿題に取っておこうと心に決めた。
鹿島槍から布引岳(2,683m)を経て冷池山荘まで下って一緒に昼食をとって大休止。そこから先は危険個所もない2時間程度の楽な行程なので、各自思い思いのペースで歩くことになった。私は4日間の疲労蓄積のため爺ヶ岳(2,670m)の3つのピーク越しに喘ぎつつ種池山荘を下って、棒小屋沢乗越のキャンプ場にて⛺テン幕。
その翌日、岩小屋沢岳(2,630m)、鳴沢岳(2,641m)、赤沢岳(2,678m)、スバリ岳(2,752m)、針ノ木岳(2,821m)と登降を繰り返し、北アルプス三大雪渓のひとつ針ノ木雪渓を扇沢へと下って今回の山旅を終了した。
この辛い縦走経験がその後の山行への教訓となり、決して体力過信をせず登山前には少なくとも1ヶ月間週2回ペースで10kmジョギングを欠かさないことを自らへの戒めと定めた。

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