【50】燧岳(燧ヶ岳)

【2005年6月17~19日】

前年、家内の病気リハビリを兼ねて行った立山登山と上高地散策で体調回復を確認できたので、今度は絵が好きな妻の希望で水芭蕉の風景を見るため2度目の尾瀬にやって来た。妻の病気を通して人生の終末がいつ訪れるか予期できない現実を知り、ふとそれまで登った百名山の数を調べてみると直半分の49座であることが判った。そうした想いを経て、自分自身残り半分の登頂を明確に意識するに至り、大学1年時に来た尾瀬(この時は至仏山から尾瀬ヶ原)を折り返し点50座目の山に選んだ。学生時代と同じく鳩待峠でバスを降り、至仏山麓の山ノ鼻まで下って初日の宿をとった。
翌朝、晴れ間に恵まれ尾瀬ヶ原を散策、木道脇に尾瀬の象徴水芭蕉が咲き誇る極楽のような絵を眺め、家内の表情も心なしか晴れやかな表情に変わっていった。私も次に尾瀬に来る時はこの風景を見たいと心に決めていたので、満願成就した爽快な気分で颯爽と聳つ燧ヶ岳に向かって伸びる龍宮十字路、下田代(見晴)十字路と気持ちよい行程を愉しんだ。
2日目の宿、尾瀬沼ヒュッテまでの距離は病み上がりの家内には大変だったようなので、翌朝、家内を宿周辺の尾瀬沼に残して一人、長英新道を辿り燧ヶ岳のピストンに向かう。3時間半かかるとされる上りを2時間程度で登り詰め俎嵓(2,346m)に登頂、すかさず三角点の柴安嵓(2,356m)を目指すも傾斜面には未だ雪がついていて、アイゼンもストックも持たず登っていたので思い掛けない緊張を強いられることになる。雪を踏みしめて何とか登降の後、急ぎ下って家内と合流、その日のうちに沼山峠からバスで鬼怒川温泉へ向かい3日間の登山疲れを癒した。

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