【18】谷川岳

【1984年6月30日】

上野発の上越線夜行列車で“日本一深いモグラ駅”との異名を持つ土合駅に夜明け前3時55分に到着。地底駅から長い階段を這い上がり、未だ真っ暗な4時半前に土合駅前登山口を出発した。
遅い時間なら谷川岳ロープウェイも利用可能だが、この時間は動いていないので真面目に歩いて登山することにし、西黒尾根を山頂目指してひたすら高度を稼ぐ。今回随行した三戸ゼミ同期の廣瀬君は高校時代柔道で国体に出た強者なので体力十分、夜行疲れもモノともせず実働3時間半で谷川岳最高地点の南峰トマノ耳(1,963m)への登頂を果たした。
初日はガスの切れ間に時折周囲の山々が見渡せるという天候ながら、登山初めてという彼はこうした雰囲気に大満足の様子であった。頂上で9時45分まで昼食大休憩をとり、耳二つと呼ばれるもう一方の北峰オキノ耳から一ノ倉岳(1,974m)、茂倉岳(1,978m)へとゆったり頂稜部の稜線歩きを愉しんで、茂倉岳避難小屋に泊まるつもりだったが、小屋内水浸しでゴミも散乱するなど汚くて殆ど宿泊不能だったためキャンプサイトにて⛺ツェルト泊とした(第1日目実働5時間40分)。

2日目も梅雨時には珍しい晴天に恵まれた。多少のガス雲は見られたものの、来し方行く先の谷川連峰の峰々は俯瞰できるまずまずの天候で、茂倉岳から武能岳(1,760m)への笹平や蓬峠(1,529m)にかけて気持ちの良い草原歩きが愉しめた。欲を言えばニッコウキスゲの大群落を見たかったが、今年は冬が長かったせいか、未だ殆ど咲いておらずやや残念だったこと。
蓬峠から湯桧曽川へと下る途中、白樺小屋間に大きな雪渓を4度渡らねばならなかった所を除いて危険個所もなく、“魔の山”を意識したのは唯一、一ノ倉沢を上から見下ろし下から見上げて想像を膨らませた瞬間のみだった(2日目土合までの実働6時間7分)。

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