九州

神々の舞台として、伝説の地として、いにしえの昔から存在してきた九州の山々。標高こそ高くはないが、物語を紡ぐにふさわしい個性豊かな名峰が君臨する。火の阿蘇山、草の九重山、石の祖母山、水の霧島山、木の屋久島、そして美の開聞岳。わたしたちを古代へと誘う。~鳥瞰図で楽しむ日本百名山~

広島から近くで深山の雰囲気に浸れる九重連山はご贔屓の山だ。四周を取り巻く峠を越えて坊ガツル盆地の懐に佇むと、不思議と心が落ち着いて哀愁を込めたあの賛歌のメロディが想い出される。法華院温泉で一風呂浴びた後、日暮れ行くキャンプ場でビールを飲みながら過ごすのが特にいい。

勿論、他の山も悪くない。子供時分から幾度も観光で通りかかる阿蘇五岳は、涅槃に喩えられる外輪山からの眺め、根子岳の異観やいろんな温泉に浸かれる嬉しさもいい。
世界遺産の屋久島は多くの観光客が目指す縄文杉の圧倒的迫力は折り紙付き、更に深い太古の森の中へ身を置くと自然と五感が活性化してくる感覚が味わえた。その先は岳参りの歴史に触れる聖地の山々が鎮座し、登山者は南海の海上アルプス縦走という贅沢な山旅を通して身が清められる思いであった。

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