【9】黒部五郎岳

【1983年7月31日】

前日の薬師登山は雨に祟られ、今日こそリベンジと早起きして懐電を灯して出発準備。やがて夜は明けてきたが、雨こそ降ってないものの…やはり天気は芳しくなく一同ガッカリしながら太郎兵衛平から三俣蓮華岳に至る北アルプスのダイヤモンドコースの縦走をスタート。北ノ俣岳(2,661m)、赤木岳(2,622m)と黒部五郎岳に向かう稜線を進む。ピーク手前から100mの急登を空荷でピストンして黒部五郎岳(2,840m)の頂上に立ったが、またも展望無しで流石にテンションは下がってきた。
コバイケイソウの咲く斜面を下って羊群岩が点在する五郎カールの底に降り立つと、そこはお花畑の中に小川が流れる別天地であった。頂上下の三方が高い壁に抉られた圏谷の様子は、まさに天空の庭園(確かスイスorアルプス庭園という看板だったか…)とも言える絶妙な修景で配されており、展望に恵まれなかった我々を大いに慰めてくれる美しさであった。こうして気を取り直して本日の泊地、黒部五郎キャンプ場へ到着。その日は10本(6時間46分)の行程であった。
因みに、翌8月1日は大雨洪水警報が発令されて停滞、8月2日に3日振りに晴れ上がり、三俣蓮華岳、双六岳と360度の大パノラマの絶景を眺めることができたが、停滞のツケで予定していた笠ヶ岳に行くことが出来なくなり笠新道の辛く長い下りを降りて新穂高温泉まで歩いて初めてのアルプス合宿が終わった。

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