【1】丹沢山

【1982~1984年6月】

我々の所属するサークル立教大学逍遥会は、春5月に新人養成合宿(日光太郎山麓光徳牧場・富士山麓西湖畔)を終えると、夏休みの山合宿に備え6月に2度サブ合宿という一泊二日の体力向上を兼ねた予行演習を実施する。行先は概ね奥多摩・奥秩父・丹沢で、梅雨時期の蒸し暑く不快指数100%の山の中へ出向いて、更にわざわざザックに石を詰めて頂上まで運ぶという歩荷訓練のため、満足に景色を楽しめた記憶がない。
私にとって初めての日本百名山は、右も左もわからない大学1年時の丹沢合宿。その後、丹沢山塊には都合3度入山し、丹沢山(1,567m)、大山(1,252m)という主峰に加え、周辺の蛭ヶ岳(1,673m)や鍋割山(1,273m)などもコースに加わることが多い。こうした中で、最も我々を苦しめたのが塔ノ岳(1,491m)へ至る大倉尾根、通称バカ尾根である。渋沢からバスに乗って登山口の大倉(標高290m)へ入ってテン泊し、翌早朝からこのバカ尾根を重い荷物を背負って一気に1,200mの高度差を登り詰めるのが定番コースだった。特に、雨が降ると水分を吸って重さが増す布製の6人用⛺テント…通称6テンをキスリングに詰めて背負わされる1年生にとっては地獄のコースであった。
想い出深い丹沢ではあるが、”目的が目的”だけに手元に殆ど写真が残っていないのはあまりにも残念なので、いつの日か逍遥会の皆なと誘い合わせて愉しい登山を行いたいものだ。

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