北海道

深田は『日本百名山』の中で、北海道の山はどの山も登山の歴史が新しいと書いている。登山に限らず、ここには人の手が及ばぬところが残されている。野生の動植物が身近に顔を出す。大自然がまるごと残されている。~鳥瞰図で楽しむ日本百名山~

小・中・高校と広島の狭い片田舎で育った私にとって、北海道は果てしなく遠く…旅心をくすぐる冒険の地。そうした浪漫を懐いて大学1・2年の夏休み、自転車で移動しながら道内各地の名山に登る一人旅に出掛けた。1日の移動距離100~150㎞を1ヶ月走っても周り切れない、まさにデッカイドォ~の雄大な大地の中に身を置いて、毎日ちっぽけな殻が壊されていくのが愉しかった。

大雪、利尻、知床…1980年代当時は北海道で山登りする人は少なくて、手付かずに近いその山懐に足を踏み入れると自然との一体感も味わえた。2016年北海道最後の百名山幌尻岳に登ったが、日高山脈の秘境にある筈のその山には沢山の登山者が訪れ、麓の山小屋はごった返していた。出来得ることなら、もう一度あの頃の野趣あふれる山々との対話を愉しみたいものだ。

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