【7】祖母山

【1983年3月20日】【2010年10月6日】

雪の阿蘇から撤退を余儀なくされた逍遥会パーティは、合宿3日目に阿蘇の外輪山越え23㎞に挑む。ところが予定の道がない…否、正確には新しい作業車道があちこちに作られていて、一体どの道が正解なのか判らない事態に直面。男子が手分けをして先遣隊で走り回って藪漕ぎをして、陽が傾きつつある中をようやく峠越えに成功、椎茸栽培で入っていた農家の人に道を尋ねて何とか予定の五ヶ所高原まで到達した(実働9本8時間8分)。
合宿4日目の3月20日は祖母山へのピストンだったが、やはり高度を上げるに従って登山道は雪深くなってきて、半ラッセル状態でまたも過酷な行程となる。体力を消耗して頂上にようやく到達するも寒さに加えて展望も無い。ガックリした気持ちを温めようと、我々はラーメンを食べようとザックを開いたが、ラジウスは有れどコッヘルがないことが発覚。何も食べれず、二重のガッカリで下山していると、雑種の🐕犬が後ろを着いてきた。我々はこの硬い茶色い毛の🐕犬に「コニシ(小西)」と名付けて一緒に歩くことにした(実働7本7時間3分)。コッヘルクリーナー役を務めたコニシはすっかり懐いて、翌21日の恐怖の黒原越え(1,118m)藪漕ぎのお供を立派に務めたが、高千穂峡谷に向かう国道に入ると車が多くて危険なため途中の雲井都交番に引取って貰い、残り4日間高鍋まで歩いて春合宿を終えた。

2010年秋、大学1年の逍遥会春合宿で見れなかった景色を確かめるべく、愛犬🐕マロンを伴って祖母山へのリベンジ登山にやって来た。前回辿った五ヶ所から九州自然歩道を北谷登山口まで車で入り、直登コースではなく千間平(1,447m)、茶屋場(1,488m)、国観峠(1,486m)と尾根筋を周遊する登山道を選択し、約2時間で祖母山頂(1,756m)に到達した。天候は抜けるような秋晴れで360度の大展望、西に阿蘇五岳、北に九重山群、東に傾山から大崩山まで遠望できた。それより前回は雪とガスで頂上の記憶は全く残っていなかったが、日本書紀の天孫降臨伝説に機縁する高千穂から見上げた場所に立地する祖母山の頂には、いかにも歴史深そうな石の祠が2つ鎮座していて古を想起させる雰囲気を感じさせてくれた。
爽やかな気分で南の古祖母山(1,633m)へ向う下山路を暫く進むと天狗岩間の梯子・鎖場に入る。人間がロープ伝いに横歩きでやっと通過できそうな片切れ落ちの岩場が5m以上続く…当然、マロン🐕の歩行は無理ということで意を決して胴輪ごとリードで宙吊りして命辛々通過した。すっかり肝を冷やした私は、古祖母まで行くのは中止して障子岳(1,703m)から親父岳(1,644m)、黒岳(1,578m)を通って北谷へ戻る荒れた点線道を慎重に下って事なきを得た。
翌10月7日、日之影からダート悪路の奥村・黒仁田林道を経て祖母山に隣接する二百名山の傾山(1,605m)に向かうが、前日の危険もあってお疲れ気味のマロン🐕を九折越(1,311m)に繋いでのピストン登山とした。

  • はてなブックマークに追加