【43】甲斐駒ヶ岳

【1993年7月17~18日】【2011年8月10日】

甲斐駒の初登頂は、幼馴染田中君のお誘いを受け一緒に登った1993年夏のことだった。彼の愛車シトロエンを駆って、広島から伊那ICまで運転を交替しながら夜通し高速道を突っ走る。私は車でこんな長距離を走ったことがなかったので疲れたが、彼は慣れているようでピンピン元気だった。南アルプス林道は一般車両通行不可なため、仙流荘からバスに乗り換えて登山口の北沢峠(2,030m)に到着し、その日は⛺テントを張って早目に就寝疲れをとる。
翌朝、仙水峠(2,264m)を経て甲斐駒山頂(2,967m)を目指すも、この年の梅雨明けは遅れていてこの日も雨が降ったりやんだりの生憎の天候。登山デビューの田中君に絶景を見せてやれないのは残念だったが、彼はガスの切れ間から顔を覗かせた摩利支天や白砂の花崗岩に覆われた別世界を味わいそれなりに満足しているようでホッとした。

2011年2度目の登山では前日、仙丈ヶ岳から下って昨夜は仙水小屋前で⛺テン幕。18年の時を超えた甲斐駒ヶ岳へのリベンジ登山の朝、天気は晴天目覚めの一本で仙水峠まで登り、5時20分御来光を眺める。そこから1時間刻みで駒津峰、甲斐駒ピークへと到ると、360度の大展望が待っていた。東の八ヶ岳、南東には鳳凰三山の上に覆いかぶさるような富士山、更に南から西へ白峰三山、仙丈ヶ岳の姿がクッキリと見える最高の展望であった。暫く絶景を満喫して摩利支天へ上り返すと、誰一人いない静かな時が得られた。

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