【28】白馬岳

【1985年8月末】【1989年8月9日】【2006年8月6日】

大学4年の夏、7月からスタートした就活疲れを癒すべく北アルプス白馬連峰へ向かった。ここは日本アルプスへの初見参で訪れる登山者が多い山ながら、私はそれまで入山していなかったので社会人になる前に登っておきたかった山だった。
夜行を乗り継いで大糸線白馬駅に着いてみると、駅前には私同様に最もポピュラーな白馬大雪渓ルートを目指す大勢の登山者でバスを待っていた。約1時間で登山口の猿倉(標高1,230m)に入り、未支度を整えて早速スタート。白馬尻まで整備された林道を歩くこと30分余りで到着、小屋前の「ようこそ大雪渓へ」と書かれた大岩前で記念撮影して先を目指す。コンクリートで固めたケルンを過ぎるといよいよ高度差500m直線距離2㎞の白馬大雪渓の始まり。軽アイゼンを装着して気合いを入れて一気に高度を稼いで上部の葱平まで1本で到達した。
ところがここから思わぬペースダウンを強いられることになる。雪渓歩きのため普段と違う歩幅で無理したためか、脚への負担が溜まって腿がパンパンで立ち止まること数回と大苦戦。結局、ここから稜線までコースタイムと同じ2時間を要し、ヘトヘト状態で白馬山荘へ何とか辿り着いた。
翌朝も晴天、小屋上すぐの白馬山頂(2,933m)でゆっくり御来光を拝む。その日の目的地は唐松岳、難所の不帰ノ剣を通らなけらばならない興奮に気持ちを高めつつ、杓子岳(2,812m)、鑓ヶ岳(2,903m)の白馬三山を快調に縦走。標高差300mの天狗ノ大下りの後、遂に鬼門の不帰に差し掛かる。不帰Ⅰ峰を難なく通過すると、目の前に巨大な岩の塊Ⅱ峰が圧倒的な迫力で威圧してきた。足元がスッパリ切れ落ちて数百メートルの谷底が視野に入らざるを得ない横梯子、次々に連続する縦梯子と気が抜けない怖さと闘いながら無事Ⅱ峰を通過。ここで忘れかけていた筋肉疲労がどっと噴き出してきて、大したことのない筈のⅢ峰越えの後、疲弊しきって唐松岳(2,696m)へ到達した。
翌日は台風接近で猛烈な風、小屋前で調理していたコッヘルがはるか先まで吹き飛ばされる様子を目の当たりにして、五龍岳・鹿島槍ヶ岳への縦走を断念して八方尾根を下山した。

2度目の白馬は逍遥会OB仲間2人と同行して初回と全く同じコースを唐松岳まで辿り、その先遥か五龍岳・鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳までロング縦走した(※五龍・鹿島槍参照)。

2006年17年振りの白馬登山は前2回と違う白馬大池ルート。初日、栂池ロープウェイを利用して栂池自然園(標高1,850m)までゲインし天狗原、乗鞍岳を経て白馬大池にて⛺テン幕。
2日目は小蓮華山(2,769m)に登る途中、乗鞍岳稜線上から昇る御来光を左手に見ながら3度目の白馬山頂を目指す。晴れて好展望の尾根筋からは白馬三山の美しい姿が眺められた。上った道を三国境(2,751m)まで下って二百名山の雪倉岳(2,611m)までピストン、鉢の鞍部(2,504m)まで戻り鉱山道ルートを蓮華温泉へ下山した。
全3回の白馬周遊で眺望には恵まれて満足できたので、次の機会には日本一高所の白馬鑓温泉に浸かるという課題を残しておこう。

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