【20】槍ヶ岳

【1984年8月2日】【2004年8月9日】【2008年8月10日】

逍遥会夏合宿の後半のメインは槍ヶ岳。我々6人のパーティは常念岳から横通岳(2,767m)、大天井岳(2,922m)へと北上。大天荘キャンプ場に連泊して燕岳(2,763m)への空荷ピストンの後、表銀座コースを辿って槍ヶ岳に向かう喜作新道へ入り、8月1日西岳(2,758m)へ到達。前日から夏山らしく午後、夕立がやってくる天候へと変わり、⛺テントを張った途端激しい雷雨に襲われる。稜線上の高い場所に居るので、息をのみながら(お酒もたんまり呑んで…)雷が過ぎ去るのを待つが、西に高く聳える槍ヶ岳の頂上に落ちる落雷が妙に綺麗で感動した。
翌朝は満点の星の下で夜が明け、皆の気持ちは否がおうにも高ぶってきた。水俣乗越まで一旦下って東鎌尾根に取り付きひたすら高度を稼ぎ、槍の直下にある殺生ヒュッテのキャンプ場に⛺テントを設営。さあ、念願の槍ヶ岳登頂という場面で、なんとカメラが故障してしまい一同ガッカリ…あれこれ修理を試みるも結局、治らず写真のない槍ヶ岳(3,180m)初登頂となった(※見知らぬオジサンから写真撮影のプレゼントがあったが…)。この後、私は2度単独行で槍ヶ岳のピークを踏み、360度の大展望をばっちり撮影することが出来たが、このパーティの写真班は自分だったので皆なには申し訳ないことをした。当日の行程は8本(4時間11分)、槍から下山して暫くするとその日も夕立であった。翌8月3日、上高地小梨平まで7本(5時間18分)歩いて合宿が終了した。

2004年の夏、家内を明神館に一泊して上高地散策の観光を終え河童橋まで送り届けた後、独り戻って槍沢を登り詰めて2度目のピークを極める。今度は自前カメラ携行にて登頂写真もばっちり、前回ほどの快晴ではなかったものの眼の裏に焼き付けていた見覚えある光景をレンズに収めることが出来て20年溜まっていた宿題をようやく終えた満足感であった。この後、大キレットから穂高岳までの北アルプス随一の羨望ルートを縦走した。

そして3度目の登頂は2008年の夏、北アルプスで今まで行けていなかったコース、行ったが展望のなかった薬師岳を繋ぐ1週間ロングコースの途中のこと。初日合戦尾根を燕岳(2,763m)へ登り、学生時代に逍遥会で辿った表銀座縦走路を辿って槍ヶ岳(3,180m)へ立ち三度の眺望に至福の時を噛みしめる。槍ヶ岳は象徴的な山なのに「見るべき山であって、登るべき山ではない」と言う人はいない。この時、私の中で富士山への歪んだ思いが解消され、百名山の最後100座目に日本の象徴へ登ろうと決心した。

  • はてなブックマークに追加