【25】北岳

【1984年9月22日】

鳳凰三山から広河原に下りてきて昼食後12時40分、白峰三山へ向けて再び上りを開始。この日も途中から雨が降り始める最悪な天気となったが、白峰御池小屋のキャンプ指定地までコースタイム3時間を登り詰めた。天気予報では全国的に晴天が伝えられていたが、なぜかここだけ雨に祟れていて余計に気分が落ち込んだ。
翌9月22日は昨夜の雨が嘘のような快晴、朝5時次第に白んでくる気配を背中に感じ、好天に心も浮き立って標高差500mの急登草スベリを難なく通過、更に小太郎尾根を辿ること僅か2時間という猛スピードで肩ノ小屋まで到着。西に仙丈岳、東に昨日辿った鳳凰三山を俯瞰しながら日本第2の高峰、北岳(3,192m)へ程なく登頂した。あいにく次第にガスが出てきて、北岳から間ノ岳・農鳥岳へ続く日本一長い3,000mの稜線パノラマは見えなかったが、紅葉の上に初冠雪の白が被さる素晴らしい景色が堪能できた。
この日は10時半過ぎに北岳山荘キャンプ指定地にテントを張って昼寝三昧、ゆっくり寛いで夕方外に出てみると西の空が真っ赤!北岳の左雲海上に仙丈岳が浮かぶ絶景。東には遥か向こうに富士山と雲海の切れ間から甲府市内の夜景が見えた。息をのむような荘厳な風景に時を忘れ佇むうち、やがて星の数が増え暮れていった。

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