【98】幌尻岳

【2016年8月4~5日】

日本百名山の残る3座最大の難関、南北150kmに及ぶ長大な日高山脈の最高峰、その名も“大きい(ポロ)山(シリ)”幌尻岳へ向かう。
メインコースは額平川沿いに10数回沢を渡渉する幌尻山荘泊コースだが、この山荘は事前予約で満杯利用不可なため、必然的に私は難路として悪名高い新冠林道コースを選択。登山口まで40㎞以上の未舗装ダート道と、更に車止めから19㎞の林道歩きが続く長くて過酷なもので、昼過ぎバイクで車止めに到着後2泊分の重装備をザックに詰め込んで入山。
虻だらけの林道を5時間歩き詰めでようやく暗くなる寸前に今夜宿泊予定の新冠幌尻山荘(予約不要:無料)に到着。日高山脈と言えば…昭和45年の福岡大学WV部3名をヒグマが襲ったカムイエクウチカウシ山獣害事件が有名なことから、一人で途中ビバークなどあり得ないためとにかく頑張るしかなかった。因みに、二重の車止め(一つは崖上数十㍍の橋の上)と警告看板があるにも拘わらず、不心得者のオジサンが自転車をばらしてまでゲートを通過していたのには閉口した(-_-#)。

翌早朝、どんよりとした曇り空の中を山頂アタックへ出発。
途中までは展望も何とか保たれ、南のカムイエク方面の山並みも見渡せたが、7合目付近から雨が降り始め稜線上のピークでは台風並みの強い風雨の悪天候に見舞われた。
当然、ガスの中をカッパ姿で証拠写真(何も見えない…)という状況な訳で、自分の基準ではリベンジ対象入りの心残りの山となったが、流石にここは二度と来れないかも…何かの荒行に来てるんじゃないかと錯覚するような超過酷な山行だった。

こんな苦労をして入山したにも拘らず、結局、1泊で翌夕暮れ時には麓の町の新冠へ下山することになる。というのも、食料その他装備は万全だったのに…肝心の寝袋を忘れるという大失態を犯してしまったため。一晩持参の服を着こんで頑張ってみたものの、そこは北海道の山奥…寒くてどうにもならなかったのと、山小屋で隣り合わせた5人グループの内の1人が50㍍下の沢に滑落死した(翌日登山道を通りかかるとハッキリ踏み抜いた足跡を発見…)という不吉な予感もあって早々に撤退を余儀なくされた。

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